
中国ドラマ『追風者~金融界の夜明けへ~』(原題:追风者、英題:War of Faith)は、1930年代の上海を舞台に、貧しい青年が“赤い金融家”へと成長していく姿を描いた金融サスペンス×スパイドラマです。主演は『陳情令』『無名』などで世界的な人気を誇るワン・イーボー。冷徹な金融エリートを演じるワン・ヤン、共産党の地下工作員として暗躍する令嬢を演じるリー・チンが共演し、重厚な人間ドラマを紡ぎます。(ウィキペディア)
1930年代の中国は、国民党と共産党、軍閥、外国勢力などが入り乱れる混沌の時代。ドラマでは「銃や爆弾」だけでなく、「通貨」「国債」「偽札」「タングステン鉱石」といった“お金の流れ”そのものが武器として描かれ、金融を制する者が国を動かす、というテーマが貫かれています。(映劇)
一方で、本作の軸になっているのは、天才的な数学の才能を持つ貧しい青年・魏若来(ウェイ・ルオライ)と、彼を見いだした金融エリート・沈図南(シェン・トゥーナン)、そして共産党の地下工作員である妹・沈近真(シェン・ジンジェン)の三人が織りなす「師弟の絆」と「信念の行方」です。金融サスペンスでありながら、最後には人の生き方や“何を信じて生きるか”を問われる、余韻の深い作品になっています。(映劇)
この記事では、キャスト・相関図、物語の流れ(ネタバレあり)、時代背景や見どころ、日本での視聴方法までまとめて解説します。
記事のポイント
- 1930年代上海を舞台にした金融サスペンス×スパイドラマ『追風者~金融界の夜明けへ~』の内容を、キャスト・相関図・あらすじから総ざらい
- 貧しい天才・魏若来と、彼を導く金融エリート・沈図南、共産党員の沈近真が織りなす「師弟ドラマ」と「信念」の物語
- 国民党中央銀行と共産党の金融戦線を通じて描かれる、通貨戦争・偽札作戦・経済封鎖などの“金融バトル”
- 序盤の上海編から、江西ソビエト区での金融戦争、列車上の最終決戦まで、物語の流れをネタバレ込みで整理
- 日本での放送・配信先(Lemino・みるアジア・衛星劇場・BS11+など)と注意点をまとめて紹介
【中国ドラマ】『追風者』キャスト・相関図・あらすじ

チェックポイント
- タイトル・話数・放送年などの基本情報と日本でのローカライズタイトルを確認
- メインキャラクターの関係性を、簡易的な相関図イメージとともに整理
- 序盤~終盤・最終回までの物語の流れを、大きな山場ごとにネタバレありで解説
- 師弟関係の変化と、「信念」をめぐる選択がどのようにクライマックスへつながっていくかを考察
- 1930年代上海という時代背景や、金融・スパイアクションとしての見どころを押さえる
『追風者』とは?日本放送日・全何話・基本情報
まずは作品の基本データから。
『追風者 〜金融界の夜明けへ〜』は、中国CCTV-8で2024年3月21日〜4月8日にかけて放送された全38話のテレビドラマです。ジャンルはスパイドラマと金融ドラマが組み合わさった社会派作品で、各話約45分。制作は北京愛奇芸科技有限公司(iQIYI)など複数の会社が参加し、中国全土で高い注目を集めました。(ウィキペディア)
日本では「追風者~金融界の夜明けへ~」というタイトルで導入され、まず2024年8月5日から動画配信サービス「みるアジア」で配信がスタート。その後、CSチャンネル「衛星劇場」で2024年11月より日本初放送が行われ、BS11+でも見逃し配信やレンタル配信が展開されています。(ウィキペディア)
ストーリーの大枠はこうです。
国民党中央銀行の下級職員・魏若来は、天才的な計算力と記憶力を持ちながらも、生まれ故郷が共産党の拠点・江西省であることから差別を受け、なかなか正当な評価を得られません。そんな彼の才能を見抜いたのが、中央銀行の上級顧問である沈図南。魏若来は彼の助手として金融の世界に足を踏み入れ、そこで銀行の腐敗や権力争いを目の当たりにします。やがて沈図南の妹であり、共産党の地下工作員である沈近真と出会うことで、魏若来は「何を信じて生きるのか」という問いと向き合うことになります。(映劇)
本作は、放送当時、中国のレビューサイト・豆瓣(Douban)で高評価を獲得し、多くのユーザーから「今年の必見作」「金融ものなのにこんなに泣けるとは」といった感想が寄せられました。また、上海テレビ祭・白玉蘭賞では、作品賞や監督賞、美術・音響など複数部門でノミネートされており、作品としての完成度の高さも評価されています。(豆瓣)
キャスト・登場人物と相関図(ワン・イーボー/リー・チン/ワン・ヤン)
続いて、主要キャラクターと関係性を整理しておきます。
魏若来(ウェイ・ルオライ)/演:ワン・イーボー
・国民党中央銀行の下級職員
・江西省出身の貧しい青年だが、突出した数学の才能と記憶力を持つ
・差別と貧困に晒されながらも、真面目で優しく、正義感が強い
・沈図南に才能を見込まれ、彼の助手として金融の世界に飛び込む
・沈近真との出会いを通じて、共産党の理念に触れ、やがて“赤い金融家”として覚醒していく
沈図南(シェン・トゥーナン)/演:ワン・ヤン
・国民党中央銀行の上級顧問
・ドイツ留学経験を持つエリート金融マンで、冷静な判断力とカリスマ性を兼ね備える
・表向きは国民党政権に仕えながらも、「国を豊かにし、民を飢えさせない」という高い理想を胸に抱く
・魏若来を“自分の分身”のように可愛がり、金融のイロハから政治の裏側まで教え込む師匠的存在
・しかし、共産党寄りの行動を取る妹・沈近真との間で、政治的・思想的な葛藤を抱えるようになる(映劇)
沈近真(シェン・ジンジェン)/演:リー・チン
・沈図南の妹で、軍需工場のエンジニアとして働きながら、裏では共産党の地下組織メンバーとして活動
・兄から得た情報を使って捕らわれた仲間を救出したり、狙撃手として任務に就くなど、行動力と決断力に優れる
・魏若来とは偶然の出会いから関わりが深まり、立場の違いに悩みながらも互いに惹かれ合っていく
・「戦乱のない国にしたい」という願いを胸に、命がけで任務をこなしていく姿が印象的(映劇)
その他の重要人物
- 林樵松(リン・チャオソン)/演:チャン・ティエンヤン
国民党警備司令部の捜査隊隊長。共産党員や疑わしい者を容赦なく取り締まる冷酷な捜査官で、拷問や証拠ねつ造もいとわない。しかし上からの圧力に振り回され、自身も罰を受けることがあり、単純な悪役ではない複雑さがある。(映劇) - 徐諾(シュー・ヌオ)/演:ワン・シュエチー
表の顔は仕立て屋、裏の顔は共産党地下組織のリーダー的存在。
おおらかで人情味のある“おじさん”で、若来や近真を陰から支える。料理上手という一面も描かれ、作品の緊張感の中で癒やしの役割も担っている。(映劇) - 黄従匀(ホアン・ツォンユン)/演:ソン・シュアイ
沈図南の有能な秘書。図南を深く敬愛しており、急速に引き立てられる魏若来に嫉妬心を抱く。
仕事ぶりは優秀だが、感情の揺れが見え隠れし、職場の人間ドラマを彩る存在でもある。(映劇) - 牛春苗(ニウ・チュンミャオ)
魏若来の幼なじみで、貧民街時代からの付き合い。素朴で明るい性格だが、時代の激流に巻き込まれていく。 - 雷鳴(レイ・ミン)/黄從匀、李晟達 など
銀行側・共産党側の仲間や敵として、多くのキャラクターが登場し、それぞれの立場から“金融戦争”に関わっていく。(ウィキペディア)
ざっくり相関を言葉でまとめると、
- 魏若来 ↔ 沈図南 … 師弟関係・金融の世界を通じた絆
- 魏若来 ↔ 沈近真 … 志で結ばれた同志であり、淡い恋愛感情もにじむ関係
- 沈図南 ↔ 沈近真 … 同じく国と民を思いながらも、政治的立場が異なる兄妹
- 魏若来&沈近真 ↔ 徐諾 … 共産党側の仲間として支え合う関係
- 魏若来&沈家兄妹 ↔ 林樵松 … 互いに命を狙い合う敵対関係
…という構図になっており、この三角形(若来・図南・近真)を中心に、銀行、警備司令部、地下組織、庶民たちが絡み合う群像劇として物語が展開していきます。(映劇)
【ネタバレ】1話〜最終回までの全話あらすじと見どころ
※ここから物語の核心に触れる内容を含みます。未視聴の方はご注意ください。
序盤:七宝街の貧しい青年と“運命の出会い”(第1〜10話あたり)
1930年代の上海・七宝街。
魏若来は卒業証書もなかなかもらえないまま、家庭教師や危険なアルバイトで生計を立てています。江西省出身というだけで差別を受け、中央銀行の採用試験でも理不尽に落とされる日々。それでも彼は、周囲の人を助けようと必死に働き続けています。(映劇)
ある日、住み込み先の家主・周に頼まれて株のアドバイスをしたところ、中央銀行の策謀により大損を被ってしまいます。この株価操作の黒幕こそ、後に師匠となる沈図南。若来は知らないうちに、彼の仕掛けた金融ゲームの中で踊らされていたのです。(映劇)
一方、沈近真は共産党地下組織の一員として、護送車を襲撃し仲間を救出する任務に就いていました。しかし国民党側の待ち伏せに遭って失敗。逃走中に偶然出会ったのが魏若来で、彼の機転で難を逃れます。これが二人の“運命の出会い”となり、その後も何度もすれ違いながら関係を深めていきます。(映劇)
やがて若来は、再度行われた採用試験で実力を発揮し、沈図南の目に留まることに成功。中央銀行の助手として雇われることになり、貧民街から“お金がすべてを動かす世界”へと足を踏み入れます。
中盤:中央銀行での出世と“金融の闇”(第11〜20話あたり)
中央銀行では、魏若来の計算能力が次々と生かされていきます。
債券の設計、為替レートの計算、大口融資の査定など、難易度の高い業務を次々とこなし、沈図南からも厚い信頼を得るようになります。一方で、黄従匀をはじめ銀行内の同僚からは嫉妬と警戒の目を向けられ、職場の権力関係に翻弄されていきます。(映劇)
沈図南は、国を豊かにするためには中央銀行が金融を掌握すべきと考え、国民党幹部を相手にした大胆な金融政策を実行していきます。しかしその裏側では、庶民を犠牲にするような株価操作や、敵対勢力を潰すための金融戦争が展開されており、若来は次第に“金融の闇”を目にすることになります。(映劇)
同じ頃、沈近真は軍需工場で兵器の開発に携わりながら、地下組織の任務として武器調達や情報収集に奔走します。兄・沈図南の立場を利用して情報を盗み出すこともあり、二人は政治的には敵対しながらも、家族として互いを思う複雑な関係に置かれます。(映劇)
魏若来は、庶民の生活を知る幼なじみ・牛春苗や、七宝街の人々の姿を通して、「自分が支えている金融システムが、本当に人々を救っているのか?」という疑問を抱き始めます。そんななかで沈近真と再会し、共産党の理想や、搾取される庶民を支えるための“別の金融”のあり方に触れ、心が揺れていきます。(映劇)
中盤後半:スパイ戦と経済戦争の激化(第21〜30話あたり)
物語が進むにつれて、政治情勢は一気にきな臭くなります。
共産党は、江西省のソビエト区を拠点に“赤い金融”を築き上げようとしており、国民党はそれを経済的に締め上げることで壊滅させようと画策します。通貨の切り下げや偽札の大量投入、輸送ルートの封鎖など、“見えない戦争”が本格化していきます。(映劇)
魏若来は、国民党側・共産党側どちらにも利用され得る立場に立たされます。共産党側から見れば、中央銀行の内情に通じた貴重な人材。国民党側から見れば、江西省出身という“危険な要素”を持つ部下です。林樵松はそんな若来を徹底的に疑い、捜査と監視の手を強めていきます。
沈図南は、若来の才能を誰よりも理解しながらも、政治的には“国民党の金融エリート”としての役割を突きつけられます。彼自身も、国を思う気持ちは本気であり、腐敗まみれの政権に対して苦悩しながらも、「内部から変えたい」という思いに縛られていきます。この「同じく国を思いながらも選んだルートが違う」という構図が、後の決定的な対立の伏線になっていきます。(映劇)
やがて、魏若来は命を狙われるようになり、七宝街や仲間たちにも危険が及びます。沈近真や徐諾は、彼を逃がすために命がけの作戦を実行し、その結果、若来は故郷であり共産党の根拠地でもある江西省へと向かうことになります。ここから舞台は上海中心部から“赤いエリア”へと移り、物語は後半戦へ突入します。(BS11+(BS11プラス))
終盤:江西ソビエト区での金融戦線と最終決戦(第31〜38話)
江西省にたどり着いた魏若来は、はじめ共産党側からスパイではないかと疑われ、拘束されてしまいます。しかし住民に寄り添い、共産党員たちが命がけで庶民を守ろうとしている姿を目にするうちに、彼は「この人たちのために自分の才能を使いたい」と心から思うようになります。そしてついに、中華ソビエト国家銀行で働くことを決意し、“赤い金融家”としての道を歩み始めるのです。(BS11+(BS11プラス))
一方、沈図南は共産党の資金源となっているタングステン鉱石の取引規制を提案し、その手腕を買われて再び前線に送り出されます。名を変え、家族とともに江西省に派遣された彼は、共産党側にとっては厄介な敵として立ちはだかります。輸送ルートの封鎖、偽札のばらまき、闇取引の取り締まりなどを通じて、徹底的な経済封鎖を進めていきます。(BS11+(BS11プラス))
魏若来と沈近真は、偽札工場の潜入や輸送ルートの確保など、命がけの任務に挑みます。その中で、偽札工場を突き止めて突入した際、沈図南が共産党側の捕虜となり、死刑宣告を受ける展開も描かれます。ソビエト区の庶民の暮らしを目の当たりにした沈図南は、自分が守ろうとしてきた“経済”と、“民の生活”とのギャップに揺さぶられ、彼自身の信念も大きく揺らいでいきます。(BS11+(BS11プラス))
クライマックスでは、共産党の資金源となるタングステン鉱石と戦略物資をめぐって、魏若来・沈近真・沈図南・林樵松・軍閥側・南京政府側など、さまざまな勢力が列車に集結し、最後の攻防戦が繰り広げられます。列車の中でそれぞれの思惑がぶつかり合い、誰がどの陣営に立ち、何を守ろうとしているのかが鮮明になっていくこの最終決戦は、本作の大きな見どころです。(BS11+(BS11プラス))
結末では、“何を信じるか”というテーマに対して、各キャラクターがそれぞれの答えを出します。師弟として固く結ばれていた魏若来と沈図南は、政治的には決定的に違う選択をしますが、互いの中に確かに残る絆や敬意が感じられる終わり方になっており、単純な勝ち負けでは割り切れない余韻を残して物語は幕を閉じます。
師弟の絆と決別…物語の結末とラストの展開
本作の核になっているのは、「師弟の物語」です。
魏若来にとって沈図南は、貧民街から“金融の世界”へと導いてくれた唯一の存在であり、父親のような、兄のような複雑な感情が入り混じる相手です。図南の仕事ぶりや志に心から憧れ、彼の理想を叶えたいと願って努力してきました。(映劇)
一方で、沈図南にとって魏若来は、才能ある若者であると同時に、自分の理想を託せる存在でもあります。腐敗した政権の中で、それでも「正しい金融」を行おうと奮闘する図南にとって、若来は希望そのものです。しかし、共産党側についた妹・近真の存在や、江西省ソビエト区で目にした庶民の生活を通して、図南自身も自分のスタンスを揺さぶられていきます。(映劇)
最終盤では、魏若来と沈図南は“経済戦の敵同士”として向き合うことになります。共産党の金融を守ろうとする若来と、国民党側からその金融を封じ込めようとする図南。どちらも「国と民のため」という信念を捨てておらず、だからこそ、二人の対立は悲しいほどに激しく、そして痛みを伴います。
ラストに向けた展開では、図南が共産党の根拠地で庶民の暮らしを目の当たりにする場面が象徴的です。数字だけを見ていた彼が、“数字の向こう側にある生活”をようやく真正面から見つめることになり、その視線の変化が、師弟の関係の変化とも連動していきます。(BS11+(BS11プラス))
最終決戦の列車シーンは、“信念の分かれ道”として描かれます。
それぞれの立場と選択が交錯し、「誰が正しいのか」ではなく「自分は何を選ぶのか」を視聴者に突きつける形で物語が締めくくられているのが印象的です。
作品の舞台となる1930年代上海の金融戦争
『追風者』がただの恋愛&サスペンスドラマにとどまらず、重厚な社会派ドラマとして評価されている理由のひとつが、1930年代上海の金融戦争を丁寧に描いている点です。(ウィキペディア)
当時の中国は、
- 1912年に中華民国が成立
- その後、国民党・共産党・軍閥・外国勢力が入り乱れた混乱期
- 蒋介石率いる国民党と、毛沢東ら率いる共産党が国家の主導権を争っていた
という状況でした。国を強くし、民を豊かにするには「政治と経済を握ること」が不可欠だと考えられ、金融をめぐる戦いは、軍事的な戦いと同じくらい重要な戦線だったのです。(映劇)
ドラマでは、
- 株価操作による庶民の資産収奪
- 偽札の大量投入による相手陣営の通貨信用失墜
- 国債の発行や為替操作を利用した財政戦
- タングステン鉱石など戦略物資の取引をめぐる攻防
といった具体的な“金融の武器”が、ストーリーの随所に組み込まれています。数字や専門用語が多いにもかかわらず、魏若来の視点で「なぜそれが庶民の生活に直結するのか」が丁寧に描かれるため、経済に詳しくない視聴者でも感情移入しやすくなっています。(映劇)
また、舞台となる上海の街並みも本作の魅力。
中央銀行が入る瀟洒な西洋風の建物、路面電車が走る大通り、若来が暮らす雑然とした七宝街などは、主に「上海影視楽園(上海フィルムパーク)」で撮影されており、衣装や美術は白玉蘭賞にもノミネートされました。華やかなチャイナドレスやスーツ姿と、貧民街の泥臭い風景の対比が、時代の格差と緊張感を視覚的にも印象づけています。(映劇)
スパイとしての暗躍とアクションシーンの魅力
金融ドラマ、社会派ドラマというと「地味そう」と感じるかもしれませんが、『追風者』はスパイアクションとしてもかなり見応えがあります。
第1話の護送車襲撃作戦から、すでに銃撃戦とカーチェイスが全開。沈近真が仲間を救うために狙撃手として行動し、その逃走を助ける形で魏若来が巻き込まれていく流れは、一気に視聴者の心をつかむ導入になっています。(映劇)
中盤以降は、
- 偽札工場への潜入と突入
- 展示会場に仕掛けられた爆弾をめぐる攻防
- 経済封鎖を突破するための密輸作戦
- 敵陣営に潜り込んだスパイの正体暴き
といったスリリングな展開が次々と登場します。派手なワイヤーアクションよりも、心理戦・駆け引き・変装・潜入などが中心で、「会話の裏にどんな本音があるのか」を想像しながら見ると、何倍も楽しめる作りです。(BS11+(BS11プラス))
最終盤の列車での決戦は、まさにスパイもののクライマックスらしい緊張感。
狭い車内に多くの勢力が集まり、誰が味方で誰が敵なのか、どのタイミングで裏切りや取引が起きるのか…という駆け引きが、一瞬たりとも目を離せない濃度で描かれます。
【中国ドラマ】『追風者』キャスト・相関図・あらすじを理解したら

チェックポイント
- 日本から『追風者』を視聴できる主なサービスと、それぞれの特徴を把握
- 映像ソフト(DVD/Blu-ray)化の状況と、今後チェックすべき情報源を確認
- 周深が歌う主題歌など、音楽面での魅力を押さえておく
- 監督・脚本・撮影地など制作背景を知ることで、作品への理解を一段深める
- 中国での評価や受賞歴、似たテイストのおすすめ作品までチェックして、次に見る作品選びの参考にする
動画配信・再放送はどこで見れる?(Lemino・衛星劇場など)
日本から『追風者~金融界の夜明けへ~』を視聴する場合、現時点での主な選択肢は次のような形になっています(配信状況は変動するため、必ず公式サイトで最新情報を確認してください)。
1. 動画配信サービス
- Lemino(レミノ)
ドラマ情報サイト「ドラマヴィータ」によると、『追風者~金融界の夜明けへ~』はLeminoで見放題配信されており、記事掲載時点では月額990円のサブスクリプション内で全話を視聴できるとされています。初回31日間の無料お試し期間を利用して視聴することも可能です。(ドラマヴィータ) - みるアジア
日本語版Wikipediaの記載によれば、日本では2024年8月5日から「みるアジア」で配信がスタートしています。アジアドラマ専門の配信サービスなので、中国ドラマをよく見る方なら合わせてチェックしておきたいサービスです。(ウィキペディア) - BS11+(見逃し配信・レンタル)
BS11+の作品ページからは、見放題プランや各話レンタルで視聴できることが確認できます。BS11での放送を見逃した回だけレンタルで補う、といった使い方も可能です。(BS11+(BS11プラス))
2. テレビ放送・CSチャンネル
- 衛星劇場(CS)
衛星劇場の特設サイトでは、『追風者~金融界の夜明けへ~』がワン・イーボー主演作として大きく特集されており、2024年11月から日本初放送がスタートしました。放送と合わせて、オンデマンド配信も行われることが多いため、CS契約がある方はこちらも有力な選択肢になります。(映劇) - BS11(地上波・BS)
BS11+での配信があることから、BS11本体でも編成に応じて放送が行われる可能性があります。視聴スケジュールは、BS11の番組表や公式サイトで確認しておくのがおすすめです。(BS11+(BS11プラス))
3. 中国本国の配信
中国では、CCTV-8での放送と同時にiQIYIで配信されており、iQIYIの海外向けサービスや一部の国・地域向けプラットフォームで視聴できる場合があります。ただし、日本からの視聴には地域制限やアカウント条件がある場合が多いため、基本的には日本向けにローカライズされたサービス(Lemino・みるアジア・衛星劇場・BS11+など)を利用する方が安心です。(ウィキペディア)
※いずれのサービスについても、配信状況や料金プランは記事執筆時点の情報に基づくものであり、将来的に変更される可能性があります。視聴前に必ず各公式サイトで最新情報を確認してください。
DVD・Blu-rayのリリース情報
『追風者~金融界の夜明けへ~』については、日本国内向けのDVD/Blu-ray情報が大々的に告知されている状況ではなく、現時点では「配信・放送がメイン」という印象です。
中国ドラマ全般でも、「配信・テレビ放送が中心で、ディスク化は後から」というケースや、「日本版としてはソフト化されず、CSと配信だけ」というケースが少なくありません。『追風者』も同様に、今のところはCSと配信での視聴が主なルートになっています。
今後、人気や受賞歴を踏まえて日本版DVD/Blu-rayが発売される可能性はありますが、その場合は
- 日本版公式サイト
- 日本の販売代理店やパッケージレーベルの発表
- 衛星劇場やBS11など放送局側のお知らせ
といったところで情報が出るはずなので、ソフトでコレクションしたいタイプの方は、これらの情報源を定期的にチェックしておくと良さそうです。
「絶対に円盤でほしい!」というレベルになったら、中国本国版のディスクが出ないかも併せてチェックしてみると、選択肢が広がります。
主題歌・OST・オープニング曲の紹介
『追風者』は音楽面の評価も高く、とくに主題歌が作品の世界観と非常によくマッチしています。
主題歌「非你所想」/周深(ジョウ・シェン)
エンディングや挿入歌でおなじみの人気シンガー・周深が歌う本作の主題歌が「非你所想」。しっとりとしたバラード調で、「世界はあなたが想像するほど単純ではない」「時間がくれる答えを信じて」というようなメッセージが、魏若来たちの苦闘と重なり胸に沁みます。(Amazon Music)
エンディング&挿入歌
Amazon Musicのサウンドトラック情報によると、ドラマの公式OSTには、主題歌に加えて以下のような楽曲が収録されています。(Amazon Music)
- 「遙望星火」:エンディング曲として使われることが多い楽曲。遠くの“星火”(革命の炎)を見つめるようなイメージで、希望と切なさが同居したメロディが印象的。
- 「哥哥」:挿入歌として登場し、兄弟や同志への思いを描いた楽曲。
- 「夢想之境」:夢や理想の世界をテーマにした挿入歌で、若来の成長と重なるような雰囲気。
- 「生命之光」:命の輝きや信念をテーマにした楽曲で、物語終盤の重い局面に寄り添うような構成になっている。
サウンドトラックには、それぞれの楽曲のインスト版も収録されており、ドラマ視聴後に音楽だけをじっくり味わうのもおすすめです。特に、金融戦やスパイ戦の緊張感の裏に、こうした“静かな熱”を帯びた曲が流れることで、作品全体のトーンがより深まっています。(Amazon Music)
監督・脚本家と制作の裏側
監督:ヤオ・シャオフォン(姚暁峰)
監督を務めたのは、歴史劇『ミーユエ 王朝を照らす月』などで知られるヤオ・シャオフォン。重厚な歴史ドラマを得意とする監督らしく、『追風者』でも派手な演出に走りすぎず、人物の心理と時代の空気感をじっくり描くスタイルが貫かれています。(ドラマヴィータ)
脚本:ウェン・リャンピン ほか
脚本・編集には、金融・政治・歴史の複雑な要素をドラマとして整理することに長けたスタッフ陣が参加。特に、若来・図南・近真の三人の関係性が、思想・立場の変化と連動して自然に変化していく構成は、「脚本の勝利」と評されることもあります。(ウィキペディア)
撮影地・美術
- 主な撮影は上海郊外の「上海影視楽園(上海フィルムパーク)」で行われ、1930年代の街並みや銀行の建物、路面電車の走る通り、貧民街の七宝街などが細部まで再現されています。
- 美術監督の呉嘉葵は、白玉蘭賞の美術部門にノミネートされており、建物・セット・小道具・衣装のすべてを通じて、時代の空気を感じさせる作りになっています。(映劇)
衣装面でも、
- 沈図南が纏う仕立ての良いスーツ
- 沈近真の機能的かつ上品なワンピースや作業服
- 蘇辞書の華やかなチャイナドレス
- 徐諾の長袍スタイル
など、キャラクターの立場や性格を服装で表現する工夫が随所に見られます。
こうした制作の細部に気を配りながら視聴すると、同じシーンでもまた違った発見があるはずです。
現地中国での評価と受賞歴(白玉蘭賞ノミネートなど)
中国本国での『追風者』の評価は非常に高く、放送期間中には再生回数や検索数が何度も上位にランクインしました。レビューサイト・豆瓣では7点台後半のスコアを獲得し、「今年見逃せない社会派ドラマ」「金融ものなのに感情の揺さぶりがすごい」といった声が多く寄せられています。(豆瓣)
また、上海テレビ祭・白玉蘭賞では、
- 中国ドラマ作品賞
- 監督賞(ヤオ・シャオフォン)
- 美術賞
- 音響効果賞
など複数の部門でノミネートされたと報じられており、作品全体の完成度だけでなく、映像・美術・音響といった技術面でも高く評価されています。(ウィキペディア)
視聴者のレビューをざっくり要約すると、
- 「ワン・イーボーの新たな代表作」
- 「金融ドラマなのに、泣けるシーンが多すぎる」
- 「悪役だと思っていた人物にも、それぞれの言い分があり、白黒つけられないところが良い」
といった感想が目立ちます。
単なるヒーローもの・勧善懲悪ものではなく、“信念のぶつかり合い”としてのドラマ性が刺さっている印象です。
『追風者』に似たおすすめの中国ドラマ・スパイ作品
『追風者』が刺さった人向けに、テイストが近い中国ドラマをいくつか挙げておきます。(ここでは作品名だけ挙げるので、視聴環境は別途チェックしてください)
- 『叛逆者』
国民党の諜報員が、共産党側の思想に触れることで揺れ動いていくスパイドラマ。思想的な葛藤や、組織への忠誠心と個人的な信念の対立というテーマが、『追風者』と通じる部分が多い作品です。 - 『潜伏』
いまなお名作とされるスパイドラマ。地味な諜報戦・心理戦をじっくり描くスタイルで、「派手さは少ないけれど、じわじわ効いてくるタイプ」が好きなら間違いなくハマります。 - 『黎明之前』
解放前夜を舞台にした諜報戦ドラマ。組織の中に潜むスパイを巡る疑心暗鬼と、信頼できる相手が誰なのか分からなくなる感覚は、金融の内部に潜む“見えない戦争”を描いた『追風者』と好相性です。 - ワン・イーボー主演作(『陳情令』『風起洛陽』など)
魏若来とはまた違うワン・イーボーの魅力を楽しみたいなら、『陳情令』の繊細で陰のあるキャラクターや、『風起洛陽』のクールな貴族役などもぜひ。『追風者』を見たあとにこれらを振り返ると、役の幅の広さに驚かされます。(映劇)
【中国ドラマ】『追風者』キャスト・相関図・あらすじのまとめ
- 『追風者』は、1930年代の上海と江西ソビエト区を舞台にした金融×スパイ×ヒューマンドラマ。金融を通じた“見えない戦争”と、人々の信念の物語が重層的に描かれている。
- 原題は『追风者』、英語タイトルは『War of Faith』。日本では『追風者~金融界の夜明けへ~』として紹介され、CCTV-8での放送後、みるアジアやLemino、衛星劇場、BS11+などで展開されている。(ウィキペディア)
- 主人公は、貧しい出自ながら数学の天才である魏若来。国民党中央銀行のエリート・沈図南に見いだされ、金融の世界に飛び込むことで、“数字の裏にある現実”と向き合うことになる。(映劇)
- 沈図南は、国民党側に立ちながらも民を救いたいと願う金融エリート。妹の沈近真は共産党の地下工作員として暗躍し、この三人の関係が物語の中核となる。
- 物語が進むにつれ、株価操作、偽札、国債、タングステン鉱石の取引などをめぐる“金融戦争”が激化し、上海から江西ソビエト区へと舞台が移る中で、魏若来は“赤い金融家”として覚醒していく。(映劇)
- 師弟である魏若来と沈図南は、互いを深く理解し敬意を払っていながらも、最終的には違う陣営・違う信念を選ばざるを得ない。その決別と、なお消えない絆が、ラストに強い余韻を残す。
- 林樵松や徐諾、黄従匀、牛春苗など、周辺キャラクターもそれぞれの立場から“金融戦争”に関わり、単なる善悪では語れない人間ドラマを形作っている。(映劇)
- 周深が歌う主題歌「非你所想」をはじめとするOSTは、静かな熱を帯びたメロディで物語に寄り添い、視聴後も余韻を引き延ばしてくれる。(Amazon Music)
- 中国本国では高い評価と話題性を獲得し、白玉蘭賞で複数部門にノミネートされるなど、作品としての完成度も裏付けられている。(ウィキペディア)
- 歴史ドラマが好きな人、サスペンスやスパイものが好きな人、そして「信念」をテーマにした人間ドラマが好きな人に、じっくり味わってほしい一作と言える。視聴後には、激動の時代を生きた人々の葛藤や選択に、自然と想いを馳せてしまうはずです。
激しいアクションや派手なラブロマンスよりも、「じわじわ積み上がる緊張」と「心に残る人間ドラマ」で勝負してくるのが『追風者』という作品です。
一話ずつゆっくり噛みしめるもよし、週末にまとめて一気見するもよし。魏若来たちの選んだ“信念”の行き先を、ぜひ自分の目で確かめてみてください。
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