
2000年7月に金曜ナイトドラマ枠で放送が開始されて以来、日本のミステリードラマ界に唯一無二の金字塔を打ち立てた作品、それが『トリック』です。仲間由紀恵さん演じる自称「超売れっ子天才美人マジシャン」山田奈緒子と、阿部寛さん演じる日本科学技術大学の物理学者・上田次郎。この異色のコンビが、超常現象や奇妙なカルト集団の裏に隠された「トリック」を解き明かしていく姿は、シリアスな謎解きと抱腹絶倒のコメディを見事に融合させ、熱狂的なファンを生み出しました。
連続ドラマ3シリーズ、スペシャルドラマ3作、そして完結編を含む劇場版4作と、14年にもわたる長期シリーズとして愛され続けた『トリック』。2025年にはシリーズ開始から25周年を迎えるなど、今なおその人気は衰えを知りません。
この記事では、今から『トリック』を見始める方にも、長年のファンの方にも楽しんでいただけるよう、主要なキャスト情報と登場人物の相関図、そして連続ドラマから劇場版『ラストステージ』までの詳細なあらすじを、ネタバレを含みながら徹底的に解説していきます。奈緒子と上田の絶妙な掛け合い、矢部刑事ら個性豊かすぎる脇役たち、そしてシリーズ全体を貫く巧妙な伏線と感動の結末まで、その魅力のすべてに迫ります。
記事のポイント
- 仲間由紀恵と阿部寛が主演を務める大人気ミステリーコメディドラマ
- 自称・天才マジシャンの山田奈緒子と物理学者・上田次郎のコンビが超常現象の謎を解く
- 連続ドラマ3シリーズ、スペシャルドラマ3作、劇場版4作が製作された長期シリーズ
- 個性豊かなキャラクターたちが織りなすコミカルな掛け合いと巧妙なトリックが魅力
- 矢部謙三(生瀬勝久)や山田里見(野際陽子)など脇を固めるキャストも人気
- 各シリーズのあらすじから最終回の結末まで、ネタバレありで徹底解説
【ドラマ】『トリック』キャスト・相関図・あらすじをネタバレ

チェックポイント
- 『トリック』シリーズの根幹をなす主要キャストと登場人物の関係性を徹底解説します。
- 主人公コンビ、山田奈緒子と上田次郎の出会いと、二人の独特な関係性に焦点を当てます。
- 生瀬勝久さん、野際陽子さんら、シリーズに不可欠な名脇役たちの役割を深掘りします。
- 連続ドラマ第1シリーズから第3シリーズまでのあらすじを、主要なエピソードと共に紹介します。
- スペシャルドラマ版や劇場版の概要にも触れ、シリーズ全体の物語の流れを掴みます。
『トリック』の主要キャストと登場人物相関図
『トリック』シリーズの最大の魅力は、なんといってもその強烈な個性を持つキャラクターたちと、彼らが織りなす複雑怪奇な(そして大抵はコミカルな)人間関係にあります。ここでは、主要な登場人物たちを紹介し、その相関図を解説します。
【主要人物 相関図(概要)】
- 山田奈緒子 (仲間由紀恵): 本作の主人公。売れないマジシャン。金にがめつく見栄っ張りだが、マジシャンの父・剛三から受け継いだ洞察力と手品の知識で、ニセ霊能力者たちのトリックを次々と見破る。決め台詞は「お前のやったことは、全部お見通しだ!」。
- 上田次郎 (阿部寛): もう一人の主人公。日本科学技術大学(通称:日本科G技術大学)の物理学者。プライドが高く極度の怖がりだが、超常現象を異常に否定し、著書『どんと来い、超常現象』を出版。奈緒子を「貧乳」とからかうが、実際は奈緒子の能力を高く評価し、無理やり事件に巻き込む。
- 矢部謙三 (生瀬勝久): 警視庁公安部の刑事(警部補)。権威に弱く、面倒事を嫌う。「カツラ」であることを異常に気にしており、シリーズを通して部下(石原→秋葉)とのズレた掛け合いを繰り広げる。
- 山田里見 (野際陽子): 奈緒子の母。長野県で書道教室を営む。シリーズを通して娘の将来を案じつつも、核心を突くような(あるいはただのダジャレのような)書を奈緒子に送り続ける。故人である夫・剛三の謎にも深く関わっている。
- 石原達也 (前原一輝): 矢部の初代部下。金髪オールバックが特徴。「アニィ」と矢部を慕うが、どこか抜けている。
- 秋葉原人 (池田鉄洋): 矢部の二代目部下(『警部補 矢部謙三』シリーズから登場)。ITに強いオタク気質だが、矢部への忠誠心は高い。
この相関図の核となるのは、もちろん奈緒子と上田です。奈緒子は金(家賃滞納が常)のために、上田は自らのプライドと超常現象の否定のために、互いを「利用」する形で事件に首を突っ込みます。しかし、数々の難事件を共に解決していく中で、互いの弱さを補い合い、言葉には出さない深い信頼関係を築いていきます。
一方、矢部は捜査の過程で奈緒子・上田コンビと鉢合わせすることが多く、当初は二人を邪険に扱いますが、次第に(不本意ながら)その実力を認め、時には捜査情報を流すことも。
そして里見は、物理的には離れた場所(長野)にいながらも、奈緒子の精神的な支柱であり、同時にシリーズ最大の謎である「山田剛三の死」と「超能力の存在」に関わるキーパーソンとして、物語に深みを与えています。
主人公コンビ:山田奈緒子(仲間由紀恵)と上田次郎(阿部寛)
山田奈緒子と上田次郎。この二人がいなければ『トリック』は始まりません。
山田奈緒子(仲間由紀恵)
自称「黒門島(くろもんじま)のシャーマンの娘にして、超売れっ子天才美人マジシャン」。しかし現実は、家賃3ヶ月滞納は当たり前、奇術団をクビになり、金目の物にはすぐに飛びつく極度の貧乏生活を送っています。アパート「池田荘」の大家(通称・ハルさん)からの家賃催促の電話や訪問(ハリセン攻撃)は、シリーズのお約束です。
彼女の最大の武器は、伝説のマジシャンであった父・山田剛三から叩き込まれたマジックの知識と、鋭い観察眼。どんなに不可解に見える「奇跡」や「霊能力」も、彼女にかかれば「ただの手品」であり、そのトリックを冷静に(時には敵を挑発しながら)暴いていきます。
性格はガサツで見栄っ張り、そして異常に「貧乳」であることを上田にからかわれ激高しますが、根は優しく、ニセ霊能力者に騙される人々を放っておけない正義感も持ち合わせています。
上田次郎(阿部寛)
日本科学技術大学物理学教室の助教授(後に教授に昇進)。自らの著書『どんと来い、超常現象』(通称:どん超)を常に持ち歩き、非科学的な現象をヒステリックなまでに否定します。
プライドが異常に高く、尊大な態度を取りますが、その実、極度の怖がり。怪奇現象や死体に遭遇するとすぐに気絶し、奈緒子の後ろに隠れるのが常です。また、自動車の運転が異常に下手(バックしかできない、など)で、奈緒子からは「巨根(という噂)」などと、セクハラまがいのイジリを受けることも。
彼は「超常現象は存在しない」ことを証明するために、奈緒子の洞察力を利用し、様々な事件に巻き込んでいきますが、シリーズが進むにつれ、奈緒子の最大の理解者であり、危険な状況では体を張って彼女を守ろうとする(そして大抵は先に倒れる)相棒となっていきます。
この二人の関係性は、「恋愛未満、友情以上」の絶妙な距離感で描かれます。互いに罵詈雑言を浴びせ合いながらも、その根底には深い信頼が流れており、特に劇場版のシリアスな展開では、その絆が強く試されることになります。
警視庁公安部の刑事・矢部謙三(生瀬勝久)とその部下たち
『トリック』のコメディリリーフとして、奈緒子・上田コンビに勝るとも劣らない人気を誇るのが、生瀬勝久さん演じる矢部謙三です。
矢部謙三(生瀬勝久)
警視庁公安部所属の警部補。しかし、公安の仕事らしい仕事をしている描写はほとんどなく、主にカルト教団や奇妙な村で起きた殺人事件の捜査担当として登場します。
最大の特徴は、その不自然な髪型と、それを指摘された際の過剰な反応。彼が「カツラ」であることはシリーズ最大の「公然の秘密」であり、風が吹いたり、何かが頭にぶつかったりする度に、視聴者は固唾を飲んで見守ることになります。
権威にめっぽう弱く、上田が大学教授(助教授)であることから「先生」と呼び、上田のトンデモ理論にも簡単に騙されます。その一方で、奈緒子や部下のことは見下しており、手柄はすべて自分のものにしようとする典型的なダメ上司です。しかし、その憎めないキャラクターと「〜〜な方向で」といった独特の言い回しは、多くのファンに愛されています。
石原達也(前原一輝)
矢部の初代部下。金髪のオールバックにサイズの合っていないスーツという出で立ちで、矢部のことを「アニィ」と呼びます。矢部のカツラ疑惑には早々に気づいており、陰で(時には目の前で)カツラをネタにするような言動を繰り返します。前原氏の芸能界引退に伴い、シリーズ途中で卒業(転勤)となりました。
秋葉原人(池田鉄洋)
『警部補 矢部謙三』シリーズから登場し、本編のスペシャルドラマなどにも合流した二代目部下。名前の通り、IT機器やガジェットに強いオタク刑事です。矢部への忠誠心は石原よりも高いように見えますが、やはり矢部の頭髪事情には敏感です。
この警察コンビ(トリオ)の捜査は、ほとんど事件解決の役には立ちませんが、彼らが登場することで本筋のシリアスな空気が一気に緩和され、『トリック』独特の緩急自在な世界観が形成されています。
山田奈緒子の母・山田里見(野際陽子)の存在
『トリック』の物語において、単なる主人公の母親という枠を超え、シリーズ全体の「謎」と「精神性」を象明する重要な役割を担っているのが、野際陽子さん演じる山田里見です。
奈緒子の母である里見は、長野県の山奥で書道教室を営みながら暮らしています。奈緒子とは対照的に、穏やかで掴みどころのない性格ですが、その言動には常に含みがあります。
彼女が奈緒子に送る(あるいは奈緒子が実家で目にする)書道作品は、シリーズの名物の一つです。「貧乳」「巨根」「まるっとお見通しだ」といった直接的なものから、事件のヒントとなるダジャレ、そして時には「お前の父(剛三)は、本物の力を持つ者に殺された」といったシリアスなメッセージまで、その内容は多岐にわたります。
里見は、奈緒子の父であり、かつて一世を風靡した天才マジシャン・山田剛三の過去を知る人物です。剛三は、ある霊能力者との対決に敗れ、世間からインチキマジシャンと罵られ、失意のうちに亡くなったとされています。
里見は、奈緒子が父と同じように「本物の力」と対峙し、危険な道に進むことを案じながらも、それを止めることはしません。むしろ、奈緒子の中に眠る「力」(それが単なる洞察力なのか、あるいは…)を見抜き、その運命を静かに見守っているようにも見えます。
野際陽子さんの圧倒的な存在感と気品、そして時折見せるコミカルな演技は、山田里見というキャラクターに測り知れない深みを与えました。彼女の存在こそが、『トリック』を単なるコメディミステリーで終わらせない、重層的な物語に昇華させた要因の一つと言えるでしょう。
ドラマ第1シリーズのあらすじと各話のゲストキャスト
記念すべき『トリック』の原点である第1シリーズ(2000年放送)。深夜枠ならではのシュールな笑いと、少しホラーテイストの強い演出が特徴です。
【Episode 1:母之泉(全3話)】
家賃滞納で困窮していた山田奈緒子(仲間由紀恵)は、物理学者・上田次郎(阿部寛)が雑誌で募集していた「超能力の存在を証明すれば賞金」という企画に目をつけます。上田の研究室を訪れた奈緒子は、その場で簡単な手品を披露し、賞金を得ようとしますが、上田は彼女を本物の超能力者だと(勝手に)勘違い。
上田は、巨大なカルト教団「母之泉」の教祖「ビッグマザー」(故人、演:?)から信者を解放してほしいという依頼を受けており、奈緒子を助っ人として教団施設に乗り込むことを計画します。
「母之泉」では、幹部たち(菅井きん、渡辺いっけい ら)が、ビッグマザーの死体を隠しながら、その「声」を聞けると称して信者たちを支配していました。奈緒子と上田は、教団が行う「遠隔透視」や「空中浮遊」といった奇跡のトリックを次々と暴いていきますが、やがて殺人事件が発生。矢部刑事(生瀬勝久)も捜査に加わり、事態は混迷を極めます。
奈緒子は、幹部たちの心理的なトリックと物理的な仕掛けを見抜き、ビッグマザーの「霊能力」がすべてインチキであったことを証明します。これが、奈緒子と上田のコンビが誕生した最初の事件です。
【Episode 2:まるごと消える村(全2話)】
上田のもとに、3年ごとに村人が一人「まるごと」消えるという奇妙な村・宝女子村(ほうめごむら)から調査依頼が来ます。相変わらず怖がりの上田は、奈緒子を「助手」として強引に同行させます。
村では、怪しげな3人組の男たち(伊藤俊人 ら)が村を支配しており、奈緒子たちを妨害します。奈緒子は、村の仕掛けられた「壁」や「道」のトリックに気づき、村人が消える(実際は殺されていた)謎を解き明かします。
【Episode 3:パントマイムで人を殺す女(全2話)】
奈緒子は、興行師(きたろう)に騙され、ある島に連れて行かれます。そこには、パントマイムで人を呪い殺すという霊能力者・黒坂美幸(佐伯日菜子)がいました。奈緒子は、黒坂が行う呪いの儀式のトリック(毒物を使った巧妙な殺人)に挑みます。
【Episode 4:千里眼の男(全1話)】
上田が、千里眼を持つ男(?)との対決に巻き込まれます。
【Episode 5:黒門島(全2話)】
奈緒子の故郷である沖縄の黒門島が舞台。奈緒子の幼なじみが島の因習に巻き込まれ、奈緒子と上田が島の謎に挑みます。このエピソードでは、奈緒子の父・剛三の過去や、奈緒子の出自に関する重要な謎が示唆されます。
第1シリーズは、奈緒子と上田のキャラクターを確立させ、矢部刑事や山田里見といった脇役も登場。シリーズの基本フォーマット(上田が事件を持ち込む→奈緒子が嫌々同行→怪しげな霊能力者登場→殺人事件発生→奈緒子がトリックを暴く)が完成したシーズンです。
ドラマ第2シリーズのあらすじと登場人物
第1シリーズの好評を受け、時間帯を少し早めて放送された第2シリーズ(2002年)。前作のテイストを引き継ぎつつ、コメディ要素とトリックの巧妙さがさらにパワーアップしました。
【Episode 1:六つ墓村(全2話)】
「毎年1月11日に旅館の宿泊客が死ぬ」という、横溝正史作品(特に『犬神家の一族』)へのオマージュに満ちたエピソード。
上田は、六つ墓村(むつはかむら)にある旅館「水上荘」の主人から謎の解明を依頼されます。奈緒子を「秘湯」で釣って同行させ、二人は村へ。
そこでは、落ち武者の呪いや不気味な手鞠歌になぞらえた連続殺人が発生します。登場人物も、怪しげな老婆(あき竹城)、推理作家(名取裕子※ゲスト)、ゴスロリ少女(?)など、非常に個性的。奈緒子は、旅館の複雑な構造と人間関係を利用した巧妙な殺人トリックを暴きます。
【Episode 2:100%当たる占い師(全2話)】
上田が、テレビ番組で「100%当たる」と豪語する占い師・鈴木吉子(銀粉蝶)と対決。鈴木は、次々と未来を予言し、的中させていきます。
奈緒子は、鈴木が心理学や事前の情報収集を駆使し、さらに巧妙な「偶然」を装う仕掛け(例えば、スタジオに細工をするなど)を用いて人々を信じ込ませていることを見破ります。このエピソードでは、矢部刑事の部下・石原(前原一輝)の活躍(?)も見られます。
【Episode 3:サイ・トレイラー(全2話)
「サイ・トレーディング」という、物に残った残留思念を読み取る(サイ・トレイリング)能力者、深見博昭(佐野史郎)が登場。
深見は、失踪した婚約者を探す女性の依頼を受け、その能力を発揮しますが、奈緒子と上田はそれが巧妙なトリックであると疑います。深見の狂気的な演技と、人間の記憶や先入観を利用した心理トリックが見どころです。
【Episode 4:天罰を下す子(全2話)
「念」を送ることで天罰を下すという少年(?)が登場。実際に少年の「天罰」を受けた人物が次々と事故に遭います。奈緒子たちは、一見超能力に見える現象が、実は周到に計画された殺人未遂事件であったことを突き止めます。
【Episode 5:妖術使いの森(全3話)】
第2シリーズのクライマックス。ある森で「妖術使い」と呼ばれる存在が人々を恐怖に陥れていました。上田の恩師の娘がその森で失踪し、二人は調査に向かいます。
そこには、外界から隔絶された村があり、村人たちは妖術使いを恐れていました。このエピソードでは、奈緒子の父・剛三の過去ともリンクする展開が描かれ、奈緒子自身も「本物(かもしれない)力」と対峙することになります。
最終的に、妖術使いの正体は、物理的なトリック(幻覚を見せるガスや、森の地形を利用した仕掛け)と、人間の恐怖心を利用したものであったことが判明。奈緒子と上田は、シリーズを通してのテーマである「人間の心の弱さ」に直面します。
第2シリーズは、鬼束ちひろさんの主題歌「流星群」も作品の雰囲気にマッチし、大ヒットを記録。『トリック』の人気を不動のものとしました。
ドラマ第3シリーズ(木曜ドラマ枠)のあらすじ
人気が最高潮に達し、ついにゴールデンタイム(木曜ドラマ枠)に進出した第3シリーズ(2003年)。これまでの深夜枠のシュールさを残しつつ、よりエンターテイメント性の高い作風になりました。主題歌も鬼束ちひろさんの「私とワルtsuを」に変更。
【Episode 1:密室の謎(全2話)】
ゴールデン進出第1弾は、超常現象の定番「瞬間移動」と「密室殺人」がテーマ。
奈緒子と上田は、瞬間移動能力を持つと主張する男(古田新太)が主催するイベントに参加します。男が観客の目の前で建物から消え、別の場所に出現するトリック、そして密室状態の部屋で発見される死体の謎に挑みます。
大掛かりな建物の仕掛けと、人間の思い込みを利用したトリックが特徴です。
【Episode 2:死を呼ぶ駄洒落歌(全2話)】
再び横溝正史風の閉鎖的な村が舞台。ある村では、不気味な駄洒落歌になぞらえた連続殺人が起きていました。
奈緒子と上田は、この奇妙な事件の調査に乗り出します。このエピソードは、小ネタやダジャレが全編にわたって散りばめられており、『トリック』のコメディ路線が色濃く出た回です。
しかし、その裏には村の因習と利権を巡るドロドロとした人間ドラマが隠されています。
【Episode 3:超能力(?)を持つ占い師(全2話)】
第2シリーズの鈴木吉子(銀粉蝶)が再登場。前回の雪辱を果たすべく、さらに巧妙な予言トリックで奈緒子たちに挑戦状を叩きつけます。
情報を盗み出すハイテク技術(当時)と、古典的な心理誘導を組み合わせたトリックで上田を翻弄しますが、奈緒子がその裏をかきます。
【Episode 4:空間を操る男(全2話)】
空間を捻じ曲げ、人を閉じ込めるという能力者(伊武雅刀)が登場。人々が特定の場所から出られなくなるという怪奇現象が発生します。
奈緒子と上田もその「異空間」に閉じ込められてしまいますが、奈緒子はそれが人間の平衡感覚や方向感覚を狂わせるための巧妙な「セット」であることを見抜きます。
【Episode 5:言霊で人を操る男(全2話)】
第3シリーズの最終エピソード。言霊(言葉の力)で人を自由に操り、自殺させることもできるという霊能力者・芝川(?)が登場。
上田の恩師がその犠牲となり、上田は復讐のために(そして奈緒子と共に)霊能力者のもとへ向かいます。
このエピソードは、シリーズの中でも特にシリアスな展開を見せ、人間の「暗示」や「マインドコントロール」の恐ろしさを描いています。奈緒子は、父・剛三が戦った「本物の力」の正体について、ある一つの答えにたどり着きます。それは、超能力ではなく、「人を信じ込ませる力」だということを。
第3シリーズは、ゴールデンタイムでありながらも『トリック』らしさを失わず、安定した人気を博しました。
スペシャルドラマ版のあらすじと見どころ
連続ドラマの合間や、シリーズ完結後(?)にも制作されたスペシャルドラマ版は、劇場版に匹敵するスケールと豪華なゲストキャストが魅力です。
【トリック新作スペシャル1(2005年)】
ドラマ第3シリーズと劇場版2の間に放送。ゲストは名取裕子さん。
テーマは「死を予言する占い師」。上田は、テレビ番組で緑川祥子(名取裕子)という占い師と対決。祥子は、科学的なデータを基にしていると主張しながら、次々と人の死を予言し、それが的中していきます。
上田は例によって劣勢に立たされ、奈緒子に助けを求めます。奈緒子と上田は、祥子が信者たちと暮らす山奥の屋敷に乗り込みます。
そこでは、祥子による「奇跡」が次々と起こりますが、奈緒子はそれが巧妙な情報操作と物理トリック(毒物や事故に見せかけた殺人)であることを見破ります。名取裕子さんの怪演と、大掛かりなトリックが見どころです。
【トリック新作スペシャル2(2010年)】
劇場版『霊能力者バトルロイヤル』の公開に合わせて放送。
ある村で、「カミハエーリ」と呼ばれる現象(人が突然消え、数日後に記憶を失って戻ってくる)が起きていました。村では、この現象を利用して人々を支配する霊能力者(浅野ゆう子)がいました。
奈緒子と上田は、失踪した青年を探すために村を訪れます。村の因習と、地質学的な特異性(特定の場所で記憶障害が起こるガスが発生するなど)を利用したトリックに挑みます。浅野ゆう子さんのコメディエンヌぶりと、矢部(と秋葉)の活躍(?)も楽しめます。
【トリック新作スペシャル3(2014年)】
シリーズ完結編である『トリック劇場版 ラストステージ』の公開前夜に放送された、事実上の「前日譚」。
ゲストは飯島直子さん、藤田朋子さんら。
物語は、山奥の旧家・水神家(みずかみけ)で起こる連続殺人事件。『犬神家の一族』へのオマージュが色濃く、遺産相続を巡る骨肉の争いと、不気味な因習が描かれます。
奈緒子と上田は、水神家の当主(?)からの依頼で、蔵に隠された財宝を探すために屋敷を訪れます。
このスペシャルは、『ラストステージ』で描かれる奈緒子と上田の「別れ」を予感させるような、切ない雰囲気も漂わせています。奈緒子が自らの運命(父と同じ道を辿るかもしれない)を意識し始める重要なエピソードです。
劇場版(ラストステージまで)のあらすじとネタバレ
劇場版は全4作。テレビシリーズのノリはそのままに、海外ロケやVFXを駆使した大掛かりなトリックが展開されます。
【トリック劇場版(2002年)】
ドラマ第2シリーズと第3シリーズの間に公開。
「300年に一度、神を選ぶ」という奇妙な因習が残る「糸節村(いとふしむら)」が舞台。奈緒子は、金儲けのために自らが「神」候補として立候補し、上田は(成り行きで)その付き人として村に同行します。
そこには、奈緒子以外にも様々な「霊能力」を主張する候補者たち(ゲスト:竹中直人、阿部サダヲ、ベンガル ら)が集まっていました。候補者たちが次々と不可解な死を遂げる中、奈緒子と上田は「神」を名乗る存在のトリックに挑みます。
【トリック劇場版2(2006年)】
ゲストは片平なぎささん、堀北真希さん。
絶海の孤島「筐神島(はこがみじま)」に、「筐神佐和子(片平なぎさ)」という霊能力者が支配する砦がありました。彼女は、箱の中身を完璧に当てる「霊能力」を持っていました。
上田は、島から脱出してきたという青年(?)に依頼され、奈緒子と共に島へ向かいます。
この作品は、シリーズの中でも特にシリアスな要素が強く、奈緒子の父・剛三の死の真相にも迫る内容となっています。堀北真希さん演じる謎めいた少女と、片平なぎささんの圧倒的な存在感が光ります。
【劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル(2010年)】
シリーズ10周年記念作品。ゲストは松平健さん、佐藤健さん、夏帆さんら、非常に豪華な顔ぶれ。
「100年に一度、最強の霊能力者を選定する」という「霊能力者バトルロイヤル」が開催される村が舞台。優勝者には莫大な富が与えられると聞き、奈緒子は(またしても金目当てで)参加。上田も、そのインチキを暴くために同行します。
しかし、参加者たちが「霊能力」を披露するたびに、次々と殺されていきます。奈緒子と上田は、壮絶なサバイバルゲームの中で、真犯人のトリックを暴こうとします。
コメディ要素と豪華キャストによるお祭り的な楽しさが満載の一方で、奈緒子と上田の関係性にも一歩踏み込んだ描写が見られます。
【トリック劇場版 ラストステージ(2014年)】
シリーズ14年の歴史に幕を下ろす完結編。初の海外ロケ(マレーシア)が行われました。
ゲストは東山紀之さん、北村一輝さん、水原希子さん。
赤道近くの秘境で、莫大なレアアースの採掘権を巡り、現地部族と開発業者が対立していました。部族は「呪術士」(水原希子)の予言を信じ、採掘を拒否。
上田は、業者側から呪術士のトリックを暴くよう依頼され、奈緒子を「最強の霊能力者」として(いつものように騙して)現地に連れて行きます。
そこには、呪術士の力を盲信する部族と、謎の医師(北村一輝)、そして奈緒子たちを妨害する謎の男(東山紀之)が待ち受けていました。
物語は、単なるトリック暴きを超え、奈緒子の出自(黒門島)や、山田剛三が追い求めた「本物の力」とは何だったのか、というシリーズ最大のテーマに迫っていきます。
(※結末の詳細は次のh2で後述します)
【ドラマ】『トリック』キャスト・相関図・あらすじをネタバレしたら

チェックポイント
- 『トリック』全シリーズを深く理解するための時系列と、推奨される視聴順を解説します。
- 完結編『ラストステージ』の衝撃的な結末を、ネタバレありで詳細に考察します。
- 「貧乳」「カツラ」だけじゃない、シリーズに散りばめられた無数の小ネタやパロディを紹介します。
- 鬼束ちひろさんが提供した「月光」をはじめとする歴代主題歌の魅力を分析します。
- 『トリック』の世界観をさらに広げるスピンオフ作品や、現在の視聴方法(配信サービス)についてまとめます。
『トリック』シリーズの時系列と見る順番
『トリック』シリーズは、ドラマ、スペシャル、劇場版が複雑に入り組んでいるように見えますが、基本的には「放送・公開された順番」に見るのが最もおすすめです。キャラクターの成長や関係性の変化、小ネタの変遷(カツラの進化など)を時系列で楽しむことができます。
以下に、推奨される視聴順(放送・公開順)をまとめます。
- ドラマ『TRICK』(第1シリーズ)(2000年)
- 奈緒子と上田の出会い。「母之泉」編は必見。
- ドラマ『TRICK2』(第2シリーズ)(2002年)
- 「六つ墓村」編など、名作エピソードが多数。
- 『トリック劇場版』(2002年)
- 初の劇場版。「糸節村」。ドラマS2の直後に見るのがベスト。
- ドラマ『TRICK』(第3シリーズ)(2003年)
- ゴールデン進出。安定した面白さ。
- 『トリック新作スペシャル1』(2005年)
- ゲスト:名取裕子。
- 『トリック劇場版2』(2006年)
- ゲスト:片平なぎさ。奈緒子の父の謎に迫る重要作。
- 『劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル』(2010年)
- 10周年記念作。豪華ゲスト。
- 『トリック新作スペシャル2』(2010年)
- 劇場版バトルロイヤルと連動(公開時期が近い)。ゲスト:浅野ゆう子。
- 『トリック新作スペシャル3』(2014年)
- ゲスト:飯島直子、藤田朋子。『犬神家』オマージュ。
- 『トリック劇場版 ラストステージ』(2014年)
- シリーズ完結編。
【時系列に関する補足】
唯一、時系列が放送順と異なるのが『トリック新作スペシャル3』です。
この物語は、完結編である『トリック劇場版 ラストステージ』の**「前日譚(ぜんじつたん)」**として制作されました。
そのため、物語の結末を知った上で、奈緒子と上田が「最後」の旅に出る直前のエピソードとして楽しむか、あるいは『ラストステージ』の直前に見て、完結編への助走とするか、どちらの楽しみ方もあります。
しかし、初めてシリーズを通しで見る場合は、制作陣が意図した「放送・公開順」である上記のリスト通りに視聴することを強く推奨します。
最終回・ラストステージの結末をネタバレ解説
(※以下、シリーズ完結編『トリック劇場版 ラストステージ』の重大なネタバレを含みます。未視聴の方はご注意ください。)
14年続いた『トリック』シリーズの完結編『ラストステージ』。初の海外ロケ(マレーシア)を敢行し、その結末は多くのファンに衝撃と感動を与えました。
【あらすじの核心】
舞台は、赤道付近の秘境。レアアース採掘を巡り、現地の「ボノイズン族」と開発業者が対立。ボノイズン族は、強力な呪術で部外者を排除する「呪術士」(水原希子)を信奉していました。
上田(阿部寛)は、業者から呪術士のトリックを暴くよう依頼され、山田奈緒子(仲間由紀恵)を「最強の霊能力者」として現地に呼び寄せます。
しかし、現地の呪術は奈緒子たちの想像を超えるものでした。呪術士が「嵐を呼ぶ」と言えば嵐が起こり、「熱病を流行らせる」と言えば人々が倒れていきます。
【明かされるトリック】
奈緒子は、これらの「奇跡」が、呪術士の背後にいる協力者(北村一輝演じる医師)による科学的なトリックであったことを見抜きます。
嵐は、現地の不安定な気候(スコール)を予測していただけ。熱病は、医師が密かに毒物を水に混入させていたことによるものでした。
呪術士自身は、部族の伝統を守りたいという純粋な心を持った少女であり、医師に利用されていたに過ぎません。
【衝撃のクライマックスと奈緒子の犠牲】
全てのトリックが暴かれた矢先、レアアースが眠る洞窟の奥で、有毒な火山性ガスが噴出する危機が迫ります。このままでは、採掘業者だけでなく、ボノイズン族も全滅してしまいます。
ガスの噴出口を塞ぐことができるのは、洞窟の深部にある「岩の蓋」を動かすことだけ。しかし、そこに向かえば生きては戻れません。
上田は自分が行こうとしますが、奈緒子は上田を殴って気絶させ、一人でガスの噴出口へと向かいます。
「私は、ただの手品師です。でも、手品師には、一番大事な仕事があります。それは、お客さんに夢を見てもらうこと…」
奈緒子は、自らが「本物の霊能力者」として奇跡を起こし、人々を救うという「最後の手品」を行うことを決意します。
彼女は、かつて父・剛三が挑み、敗れた「本物の力(=人を信じ込ませる力)」を、人を救うために使ったのです。
奈緒子はガスの噴出を食い止めることに成功しますが、そのまま有毒ガスの中に姿を消します。
【ラストシーンの解釈】
奈緒子の「死」によって、シリーズは完結したかのように思われました。
上田は失意のまま日本に帰国します。研究室で奈緒子のことを思い出していると、突然、あの聞き慣れた声がします。
「上田。家賃、払ってください」
そこには、ボロボロの姿ながらも、確かに生きている山田奈緒子が立っていました。
しかし、彼女は自分の名前も、上田のことも覚えていない様子(=記憶喪失?)。
上田は、そんな奈緒子を見て、一瞬驚きながらも、すぐにいつもの調子でこう言います。
「相変わらず貧乳だな。よし、寿司でも食いに行くか」
奈緒子は、記憶がないはずなのに「寿司」という言葉に反応し、いつものように「じゃあ、トロ!」と答えます。
このラストシーンは、視聴者の解釈に委ねられています。
- 奈緒子は奇跡的に生還したが、ガスによって記憶を失った。しかし、上田との絆(食い意地?)は残っていた。
- 奈緒子は記憶喪失のフリをしている(いつものように上田をからかっている)。
- あの奈緒子は、上田が見た「幻」あるいは「夢」だった。
多くのファンは、「奈緒子は生きていて、またいつもの日常が戻ってきた」というハッピーエンドとして受け止めています。14年間、超常現象を否定し続けた二人が、最後に見せた最大の「奇跡(あるいは手品)」だったのかもしれません。
作品に散りばめられた小ネタやパロディの数々
『トリック』の面白さを語る上で欠かせないのが、本筋とは全く関係なく、画面の隅々やセリフの端々に散りばめられた無数の「小ネタ」や「パロディ」です。
- 山田奈緒子の貧乳イジリ: 上田による「貧乳」「お前(の胸)には何もない」といった執拗なイジリと、それに対する奈緒子の「うるさい!」という返し。
- 上田次郎の巨根(疑惑): 奈緒子が上田を「巨根」と決めつけ、事あるごとにネタにする。
- 矢部謙三のカツラネタ: 風、水、衝撃など、あらゆるものが矢部の頭部を襲う。部下(石原)による「頭髪占い」や、頭に矢が刺さる(がカツラのおかげで助かる)シーンも。
- アパートの大家(ハルさん): 奈緒子が家賃を滞納しているアパート「池田荘」の大家。常に奈緒子の背後に現れ、強烈なハリセンで家賃を催促する。
- 山田里見の書道: 実家や奈緒子のアパートに貼られている書道。「母之泉」編での「卵(たまご)」など、事件のヒントになることも。
- ジャーミー君: 奈緒子のアパートの壁に貼られている謎のキャラクター。ジャーミー語(例:「わかっちゃった。」)は奈緒子の口癖にもなっている。
- 背景の文字や貼り紙: 「背中わらし」「象ができたゾー」など、物語と無関係なダジャレや意味不明な貼り紙が、あらゆるシーンの背景に映り込む。
- 横溝正史作品のパロディ: 『犬神家の一族』『八つ墓村』などを彷彿とさせる村の名前、因習、手鞠歌、登場人物の設定(例:『トリック2』六つ墓村)。
- 他作品のパロディ: 『金田一少年の事件簿』(堤幸彦監督の別作品)や、当時の時事ネタ、CMネタなども随所に盛り込まれる。
- 上田の著書: 『どんと来い、超常現象』『なぜベストを尽くさないのか』など。これらの書籍は実際に現実世界でも出版された。
- 言葉遊び: 「亀の頭か・・・太い・・・。」(=きとう)、「アイタイイマカラシスラナテハイ」(縦読みすると「愛しています宝はいらない」)など、下ネタやダジャレを多用した暗号やメッセージ。
これらの小ネタは、一度見ただけでは気づかないものも多く、DVDや配信で一時停止しながら探すのも『トリック』シリーズの楽しみ方の一つとなっています。
主題歌・鬼束ちひろ「月光」の魅力
『トリック』の世界観を決定づけた要素として、鬼束ちひろさんが提供した主題歌の存在は欠かせません。
「月光」(ドラマ第1シリーズ、劇場版1)
シリーズの原点にして、最大のヒット曲。深夜ドラマのミステリアスで少し不気味な雰囲気と、鬼束ちひろさんの切なくも力強い歌声、そして「I am God's child(私は神の子)」という衝撃的な歌詞が完璧にシンクロしました。
インチキ霊能力者のトリックを暴くというコメディタッチの物語の最後に、このシリアスで重厚なバラードが流れることで、単なるコメディではない、「人間の業」や「信じることの脆さ」といった作品の深いテーマ性が際立ちました。
「流星群」(ドラマ第2シリーズ)
「月光」のヒットを受け、再び起用された第2シリーズの主題歌。前作のテイストを引き継ぎつつ、より壮大でドラマチックな楽曲。奈緒子と上田の「絆」や、二人が立ち向かう「運命」を感じさせるような曲調が、パワーアップしたS2の物語を盛り上げました。
「私とワルツを」(ドラマ第3シリーズ)
ゴールデンタイム進出に合わせて提供された楽曲。これまでの2曲とは少し趣を変え、ワルツのリズムに乗せた幻想的かつ退廃的な雰囲気が特徴です。コメディ色とシリアスさのバランスが取れたS3のエンディングを印象的に飾りました。
これら3曲は、『トリック』という作品の「影」の部分、すなわち「なぜ人は超常現象を信じてしまうのか」という根源的な問いや、奈緒子が背負う宿命的な重さを象徴する楽曲として、シリーズに不可欠な存在となっています。
ロケ地・撮影場所はどこ?
『トリック』シリーズは、その独特な世界観を表現するために、日本各地で印象的なロケが行われました。
- 池田荘(山田奈緒子のアパート): 東京都荒川区東尾久。現在は(設定上)取り壊されていますが、アパート前の道などは「聖地」としてファンに知られています。
- 日本科学技術大学(上田の研究室): 東京都内や近郊の大学キャンパスが複数使用されています(例:成蹊大学など)。
- 花やしき(浅草): 奈緒子がマジシャンとして働いていた(クビになった)場所として、第1シリーズ序盤に登場。
- 吉見百穴(よしみひゃくあな): 埼玉県比企郡吉見町。ドラマ第2シリーズ「六つ墓村」編で、奈緒子が落ちた洞窟として使用されました。
- 宮古島(沖縄県): ドラマ第1シリーズの最終エピソード「黒門島」のロケ地。美しい海と、ラストの断崖絶壁(七又海岸など)が印象的です。
- 水上荘(山梨県甲州市): ドラマ第2シリーズ「六つ墓村」の舞台となった旅館。
- マレーシア: 『トリック劇場版 ラストステージ』のロケ地。熱帯雨林のジャングルや現地の集落が、完結編にふさわしい壮大なスケール感を与えました。
これらのロケ地は、放送から20年以上経過した今でも、ファンによる「聖地巡礼」の対象となっています。
スピンオフ作品『警部補 矢部謙三』シリーズも人気
『トリック』本編の人気を受け、生瀬勝久さん演じる矢部謙三を主人公としたスピンオフドラマ『警部補 矢部謙三』も制作されました。
- 『警部補 矢部謙三』(2010年)
- 『警部補 矢部謙三2』(2013年)
このシリーズは、『トリック』のコメディ要素をさらに特化させた内容となっています。矢部謙三が(ほとんど何もしていないのに)なぜか難事件を解決してしまう(手柄を横取りする)姿が描かれます。
『トリック』本編の監督・スタッフが制作に参加しており、小ネタやパロディも健在。矢部の新たな部下・秋葉原人(池田鉄洋)や、矢部のライバル刑事(姜暢雄)など、スピンオフ独自のキャラクターも人気を博しました。
『トリック』本編のゲストや設定がカメオ的に登場することもあり、シリーズファンなら必見の作品です。
DVD・Blu-rayや動画配信サービスでの視聴方法
『トリック』シリーズは、その人気から、全シリーズがDVDおよびBlu-ray BOXとして発売されています。高画質で小ネタの隅々までチェックしたい方には、パッケージ版の購入・レンタルがおすすめです。
また、手軽に視聴したい場合は、動画配信サービス(VOD)が便利です。
『トリック』はテレビ朝日系の作品であるため、特に**「TELASA(テラサ)」**では、ドラマシリーズ、スペシャル、劇場版、スピンオフ『矢部謙三』シリーズまで、ほぼ全ての作品が見放題配信の対象となることが多いです。
その他、**「Hulu」**などでも配信されている場合があります。
ただし、配信状況は時期によって変動します。特に劇場版は、配信ラインナップから外れたり、個別課金(レンタル)が必要になったりするケースもあります。
視聴を検討される際は、必ず各配信サービスの公式サイトで最新の配信情報を確認するようにしてください。
【ドラマ】『トリック』キャスト・相関図・あらすじのネタバレまとめ
- 『トリック』は2000年に放送開始されたテレビ朝日制作のミステリードラマ。
- 主演は仲間由紀恵(山田奈緒子役)と阿部寛(上田次郎役)。
- 売れないマジシャン山田奈緒子と物理学者上田次郎がコンビを組み、超常現象や奇怪な事件の謎を解き明かす。
- 監督は『SPEC』シリーズも手掛けた堤幸彦。
- シリアスな謎解きの中に、コミカルな演出やパロディが多数含まれるのが特徴。
- 連続ドラマは3シリーズ、スペシャルドラマは3作品が制作された。
- 劇場版は『トリック劇場版』から『トリック劇場版 ラストステージ』まで4作品が公開された。
- 生瀬勝久演じる矢部謙三刑事は人気が高く、スピンオフドラマも制作された。
- 野際陽子が演じる奈緒子の母・里見の書道や言動もシリーズの名物。
- 「まるっとお見通しだ!」「なぜベストを尽くさないのか」など、数々の名言・決め台詞が生まれた。
- 鬼束ちひろによる主題歌「月光」は、作品のミステリアスな雰囲気を高め大ヒットした。
- 各エピソードに登場するインチキ霊能力者たちのキャラクターも個性的で面白い。
- 上田次郎の著書『どんと来い、超常現象』は実際に書籍化もされている。
- 時系列は放送・公開順に見ていくのが基本。
- 『ラストステージ』でシリーズは完結を迎えたが、今なお根強い人気を誇る。
- 動画配信サービスHuluやTELASAなどで全シリーズが配信されていることが多い(最新情報は要確認)。
- DVDおよびBlu-ray BOXも全シリーズが発売されている。
- 緻密に練られたトリックと、くだらない小ネタのギャップが最大の魅力。
- 山田奈緒子と上田次郎の微妙な関係性の変化もシリーズを通した見どころの一つ。
- ミステリー好きだけでなく、コメディ好きにもおすすめできる作品。
14年間にわたり、私たちを笑いと謎、そしてちょっぴりの感動で楽しませてくれた『トリック』。山田奈緒子と上田次郎のコンビは、日本のドラマ史に残る名バディと言えるでしょう。完結から10年以上が経過した今でも、その魅力は色褪せません。まだ見たことがない方も、ぜひこの機会に、超常現象の裏に隠された巧妙な「トリック」の世界に足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。まるっとお見通しにされること間違いなしです。
参照元URL:
- トリック|テレビ朝日: https://www.tv-asahi.co.jp/trick/
- トリック劇場版 ラストステージ|東宝: https://www.toho.co.jp/movie/lineup/trick-laststage.html
- TELASA(テラサ): https://www.telasa.jp/